能「羽衣 和合之舞」

2011年4月27日 慶應義塾大学日吉キャンパス 来往舎イベントテラス
シテ(天女) 坂井音重 ワキ(白龍) 森常好
太鼓 大江照夫 大 柿原光博 小 鵜澤洋太郎 笛 藤田次郎

 誘われて日吉能を観てきた。
 会場は日吉キャンパスの来往舎。敷き舞台の仮設能舞台。鏡板はなく、背景は屋外の新緑の木立(下の写真)。
 さて、今年は未曾有の大災害の後ということで催しの自粛が広がっている。この日吉能も開催の自粛、延期が検討されたようだが、熟慮の末開催を決定したとのことである。そこには学生達の強いメッセージもあったとのことである。
 そんな思いが演技者、奏者にも伝わったか、控え目ながら強さを感じる、胸に響く羽衣だった。
 一番感じいったのが、ワキの登場の一声の日吉(ヒシギ、高く強い笛の音)。この日の羽衣を象徴する静かな日吉であった。
 日吉は笛に一気にしかも強く息を吹き込まないと音が出ない。従って、音量の大小は元より音色を調節することなど出来ない。
 しかるに静かな日吉とは。
 奏者は気持ちを持って息を吹き込み、それが音(ね)となって聞く者に響いてきたのでは。
 一声はワキの心持ちを促し、シテの登場へとつながる。そう言った意味でこの日の羽衣が示す意味あいは、日吉に凝集されていた。

 羽衣では、ワキの登場の一声の後、長閑な春の浦の様子が謡われる。しかし、この部分は省かれることが多い。この日も省略され、すぐに「我三保の松原に上がり」となった。観客が春の浦の様子を感じ取るためにも、是非謡って欲しいものだ。


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