発表会の稽古 「養老 水波之伝」

  次は「養老 水波之伝」。
 「養老 水波之伝」では、神舞「水波之伝」とイロエをアシライで吹きます。
 「水波之伝」は五段構成です。初段に替のオロシが入るので、二段はオロシはなくなります。三段は常の通り。四段目は調子が盤渉になります。
 「水波之伝」の特徴は、全体的には急の位の神舞である、初段オロシがかなりシマルというところです。普段の「養老」の神舞は比較的ゆっくりな位で吹きます。段の前も少しユルミます。「高砂」の神舞が段の前のユルミはほとんどなく、そのままの速さで次の段に飛び込む感じであるのと比べると随分ゆったりとした感じになります。ところが、「水波之伝」は、「高砂」的な急の位であるにもかかわらず段の前では少しユルムということで、”神舞”を吹くという点では若干不思議な感じの曲です。
 また、初段オロシはかなりしっかり目に吹きますので、急の位に戻るところも含めて他の囃子と気持ちを合わせる必要があります。
 「水波之伝」の心持ちを一言で言うと、まっすぐに流れ落ちる滝の流れということになります。演奏には力と勢いがいります。実際「水波之伝」を吹くと腹筋が痛くなります。(演奏時間は約4分30秒です。笛を吹いていて腹筋が痛くなるというのは初めての体験でした。)
 ということで、稽古では勢いに気をつけて吹いていました。腹筋の鍛錬も少しは行ないました。
 本番では、思わぬところでコケてしまいました。勢いが余ってなんでもないところでハズしてしまいました。本番での「水波之伝」は、本Webの”能管の演奏”ページに上げてあります。お聞きになるとわかると思いますが、初段の途中でハズしてしまい、段の前の所から後見の先生が唱歌を言っているのが聞き取れると思います。
 囃子の演奏は太鼓、大鼓、小鼓、笛がそれぞれ間を取って、相互に協調しながら演奏していきます。間を取るにあたっては、掛け声が重要な役割を果たしています。本番の「水波之伝」での失敗は、掛け声を聞き取るだけの余裕がなかったのが原因です。
 この時は、曲が速いので大鼓や小鼓を聞くだけの余裕はないだろうとの予想の元に、太鼓だけを聞いて吹こうと決めていました。たしかに、カカリ、初段の途中までは太鼓がしっかり聞こえていました。しかし、初段で太鼓がキザミを打ち始めるとどうしたことか、まったく拍子がつかめなくなってあえなくハズしてしまい、先生の唱歌の修正を受けるはめになってしまいました。二段、三段も、太鼓がキザミを打ち出すと笛の拍子がふらついて、少しですがハズレています。
 太鼓が聞こえなくなってハズした原因について少し。普段の稽古では、先生は太鼓がキザミを打つところでは大鼓と小鼓でつけてくれています。稽古の時はそれでうまくいっていたのに、本番で敢えて太鼓だけを聞こうとしため、耳が慣れていなくて失敗したものと考えています。
 今回の教訓は、稽古通りのことを本番でも実践できるだけの余裕が必要ということです。
 「水波之伝」の後、イロエを吹きましたが、こちらの方は先の失敗が尾を引いてか、もっとゆったり吹かなければならないところ、少し早めに吹いてしまいました。譜が足りないかなと思ったところでシテが謡始めてくれて、正直ホッとしました。


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